老健とは?介護老人保健施設とは?老健における介護・ケアの仕事とは?どんな職場か、高齢者リハビリ・介護ケアのニーズに職種の専門性で応える

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老健とは? 拡大する高齢者介護・リハのニーズに職種の専門性で応える

少子・高齢・人口減少――これは現在の日本を表すキーワードです。

つまり、今の日本は、少子化、高齢化が同時に進行し、かつ総人口が減少する社会になっているということです。このうち少子化だけは、これ以上の低下を多少食い止められるかもしれませんが、高齢化と人口の減少はしばらく歯止めが利きません。
なかでも高齢化の進行は深刻です。もっとも新しいデータによると、75 歳以上の後期高齢者がすでに人口の1 割に達しました。65歳以上を高齢者と呼び、その人口割合を「高齢化率」といいます。これが7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、そして21%を超えると「超高齢社会」といっています。日本は世界で一番先に「超高齢社会」となりましたが、平均寿命の高さともあいまって、高齢者の割合も、人数も増え続けています。後期高齢者についても同様です。すなわち、日本はこれからしばらくの間、世界の中で高齢化率のトップランナーを走り続けるのです。
65歳以上を高齢者とすることや、高齢化率の上昇を否定的にとらえることの是非はともかく、人口の5人に1人、4人に1人が高齢者ということになれば、医療・ケアのユーザーの中で高齢者の占める割合や人数は、格段に増大する。これは間違いありません。


高齢者リハ提供システムの構築と老健

これまで日本の医療などヘルスケア提供システムは急性期を中心とした制度設計でした。しかし、ここ20年ほどで顕在化した人口構造の変化(少子高齢社会)や、疾病構造の変化(急性期疾患から慢性期疾患へのシフト)により、高齢者の慢性期疾患および障害への対応が急務となりました。
そこで厚生労働省は、医療保険とは別に介護保険を創設(2000 年)し、後期高齢者医療制度を作る(2008 年)ことなどで対応してきました。
リハについても高齢者リハの提供システムの構築が大きな課題となっています。質的にも量的にも拡大する高齢者リハのニーズにどう対応するか。そこで高齢者リハについては、医療保険だけでなく、介護保険での提供が推進されるようになりました。
これまでも介護保険の枠組みの中で、施設基準としてリハ職を位置づけ、リハ施設として機能してきたのが老健です。
老健にはその機能の充実がますます求められるようになり、高齢者のリハを担う一翼として大きな期待が寄せられています。

 介護老人保健施設。略して“ 老健”。

老健は“ 施設”の名を冠していますが、入所機能だけでなく、ショートステイ機能、通所機能、訪問機能を備えた総合的なサービス提供拠点です。現在、全国に約3,900施設が整備されています。


時代が求める、専門性の高いリハを提供する老健

介護保険施設は3種類(介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護老人福祉施設)ありますが、そのうち老健だけが「リハビリテーション専門職を必ず配置しなければならない」と定められています。これは言い方を変えれば、老健にはリハビリテーション専門職が必ずいる、ということです。
入所・通所・訪問それぞれでリハサービスを提供する老健は、地域リハビリの拠点として大きな役割を果たしており、制度上も「リハビリテーション施設」として位置づけられています。

老健は「リハビリ施設」として、あらゆるサービスを展開する地域の拠点。
  「通う」機能による“ 通所リハビリテーション”
  「出向く」機能による“ 訪問リハビリテーション”
  「入る」機能による“ 入所リハビリテーション”
マルチな機能を駆使して、地域に貢献する老健。

さらに……。
平成18年4月から老健のリハ機能は強化され、通所と入所において、「短期集中リハビリテーション」を実施しています。
「時代が求める高齢者リハ」が老健にはあります。
これからの高齢者リハをデザインする老健に、あなたも参加してみませんか。


老健は、新人・新入職者のための研修が充実

老健には、新人・新入職者のための研修が充実しています。
老健の全国組織である全国老人保健施設協会(略称:全老健)は、スタッフの立場ごと、職種ごとなど、さまざまな研修メニューを実施しています。
リハについては、「リハビリテーション研修会」や、老健の新人・新入職者向けの「職員基礎研修会」、先進施設の実践を実地で学ぶ「実地研修会」などが開催されています。
もちろん、全老健が実施する全国レベルの研修会だけでなく、地域ごとのブロック研修会や都道府県ごとの研修会、個々の施設で実施する勉強会などが実施されています。
かつて老健は「リハ職員の少ない職場」という印象を持たれていましたが、現在は、前述した、短期集中的な1対1の専門的リハが行われていることもあり、充実したリハスタッフをかかえる老健がほとんどです。


「先輩がいて、勉強ができる」――老健はそういうリハの職場です。

■ボトムアップ研修
職員基礎研修会/中堅職員研修会/実地研修A コース(基礎実技修得コース)/介護老人保健施設安全推進セミナー(基礎研修)/介護老人保健施設安全推進セミナー(ひやり・はっと分析及び苦情対応入門)

■チームケア研修
リハビリテーション研修会/通所リハビリテーション研修会/実地研修B コース(専門実技修得コース)/ケアマネジメント実践講座/摂食・嚥下・栄養/リハビリテーション/現場での認知症ケア

■エキスパート研修
医師研修会/看護職員研修会/管理者(職)研修会/介護老人保健施設経営セミナー/認定資格取得研修:認知症短期集中リハビリテーション研修/認定資格取得研修:介護老人保健施設リスクマネジャー養成講座

介護職のキャリアアップのための仕組みも展開しています。
老健という職場の特徴は、各専門職が一つのチームとなって高齢者ケアを行っており、介護についても、専門性の高いケアが行われています。 「優秀な先輩がいて、勉強ができる」――老健はそういう職場です。


老健のケア=老健における介護職の仕事

では、老健のケアはどのような内容で実施されているか。その概要を紹介しましょう。

1.ベーシックなケアサービスの提供
老健の中心的な機能である、入所・通所機能とも、ADLの維持・向上のための基本的ケアが提供されます。そしてその提供主体はあなたたち介護職です。プログラムはルーティーンなものでも、その内容には高い専門性が求められます。老健ではそれらの提供について、医師や看護師、リハ職と介護職が一体となって進めていきます。

2.専門分化したリハサービスの提供
老健では小集団ケア、個別ケアなど、さまざまなタイプのケアが実施されています。それらはグループダイナミクス理論や、個別性を重視したケア理論など、科学的根拠にもとづいて展開されています(エビデンス・ベースド・ケア)。
その内容の全ては紹介しきれませんが、たとえば、老健ではこんなケアが日常的に展開されています。

1)モーニングケア・ナイトケア
起床時のケアと就寝時のケアは、それぞれ目的を持って行われます。起床時のケアは覚醒を促し、着替えや整容などで生活のリズムの起点を作ります。十分に覚醒せずに朝食をとると誤嚥や窒息などの危険性が増します。就寝時のケアはスムーズな入眠のために必要で、脱水予防のための水分摂取などが行われます。

2)口腔ケアや感染症予防のためのケア
口腔細菌の不顕性誤嚥による肺炎が問題になっています。口腔ケアによって誤嚥性肺炎の発症率が下がることが明らかになっており、その重要性はよく認識されるようになりました。同様に、老健では感染症予防対策が徹底されており、介護職が医師や看護師などと共同してケアが行われています。
ちなみに、インフルエンザの予防接種は、利用者だけでなく職員にも徹底されており、介護保険サービスの事業所の中で老健がもっとも先進的な取り組みを行ってきた実績があります。


きわめてアクティブな、老健リハの姿

では、老健のリハはどのような内容で実施されているか。その概要を紹介しましょう。

1.ベーシックなリハサービスの提供
老健が持つ入所機能、通所機能、訪問機能それぞれにリハサービスが実施されています。なかでも通所や訪問については、正式名称が「通所リハビリテーション」「訪問リハビリテーション」とされているように、老健のリハがリハ専門職による専門サービスの位置づけであることがわかるでしょう。もちろん、これは入所のリハについても同様です。

2.専門分化したリハサービスの提供
老健では小集団リハ、個別リハなど、さまざまなタイプのリハが実施されますが、個別リハについてはさらに専門分化したリハサービスが実践されています。

1)短期集中リハビリテーション
リハ専門職と利用者の1 対1 の個別リハです。入所・通所サービスで行われます。1セッション20分以上で、老健の利用開始早期に実施されます。

2)認知症短期集中リハビリテーション
1)と同様の仕組みで実施される、認知症に特化したリハサービスです。
認知症高齢者の増加が見込まれるわが国では、認知症高齢者への医療・リハ・ケアサービスの充実が急務で、その先駆けとして制度化されたサービスです。全老健ではエビデンスの集積を行い、大きな効果があることが証明され、期待を集める「新しいリハ」といえます。


老健の理念と役割

ここで老健の理念と役割を紹介しましょう。
介護老人保健施設は、利用者の尊厳を守り、安全に配慮しながら、生活機能の維持・向上をめざし総合的に援助します。また、家族や地域の人びと・機関と協力し、安心して自立した在宅生活が続けられるよう支援します。

1. 包括的ケアサービス施設
利用者の意思を尊重し、望ましい在宅または施設生活が過ごせるようチームで支援します。そのため、利用者に応じた目標と支援計画を立て、必要な医療、看護や介護、リハビリテーションを提供します。

2. リハビリテーション施設
体力や基本動作能力の獲得、活動や参加の促進、家庭環境の調整など生活機能向上を目的に、集中的な維持期リハビリテーションを行います。

3. 在宅復帰施設
脳卒中、廃用症候群、認知症等による個々の状態像に応じて、多職種からなるチームケアを行い、早期の在宅復帰に努めます。

4. 在宅生活支援施設
自立した在宅生活が継続できるよう、介護予防に努め、入所や通所・訪問リハビリテーションなどのサービスを提供するとともに、他サービス機関と連携して総合的に支援し、家族の介護負担の軽減に努めます。

5. 地域に根ざした施設
家族や地域住民と交流し情報提供を行い、さまざまなケアの相談に対応します。市町村自治体や各種事業者、保健・医療・福祉機関などと連携し、地域と一体となったケアを積極的に担います。また、評価・情報公開を積極的に行い、サービスの向上に努めます。


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